紫外線を浴びると日焼けの原因になる成分ソラレン(光毒性)とは?
“「ビタミンC」の入った化粧品は朝塗らない方が良い”と聞いたことはありませんか? それには、紫外線を浴びると光毒性のある「ソラレン」という成分が深く関わっています。今回は、化粧品における「ソラレン」と光毒性に関してご紹介いたします。
■INDEX■
1.ソラレンってなに?
2.光毒性で何が起きる?
3.ソラレンが含まれる化粧品はいつ使うのが良い?
4.ソラレンを含む美容成分
5.よく化粧品で使われるビタミンC誘導体の光毒性は?
6.ソラレンに関するまとめ
1.「ソラレン」ってなに?
「ソラレン」は、英語名で「Psoralen」と表記されます。「ソラレン」には紫外線を吸収する作用があるため、「ソラレン」を含む化粧品を塗ったり、食べ物を食べたりしてから、紫外線を浴びてしまうと、肌に炎症をおこすことがあります。
また、紫外線を吸収することで「メラニン」の生成を活性化させるため、日焼けの原因になるだけでなく、赤みやシミ・色素沈着を引き起こすことも。
“太陽の光(紫外線)を浴びると害を出す成分”、それを光毒性物質といいます。
2.光毒性で何が起きる?
“光毒性”とは、直射日光に当たると紫外線に過度に反応し、肌にダメージを与えてしまう性質のことで、「ソラレン」も光毒性のある成分の一つです。では、光毒性のある化粧品を実際に肌につけて紫外線を浴びた場合、肌にどういったことが起きていて、どの程度のダメージがあるのでしょうか?
「ソラレン」が含まれる化粧品(多くは精油)などを肌につけて紫外線を浴びると、発生するエネルギーを「ソラレン」が吸収蓄積します。その後、真皮と表皮下部に蓄積されたエネルギーが放出され、日焼けを引き起こします。短時間で比較的強い日焼け状態になるため、肌に痒み・シミ・炎症・色素沈着などの症状を起こします。
過去には、光毒性が現在のように認識されていなかったため、「ソラレン」が含まれるベルガモット油を高濃度に配合した日焼け止めなどの化粧品類が販売され、肌にシミができてしまうということが頻繁に発生していたようです。現在でも、ベルガモットを配合した化粧品はありますが、ベルガモットFCF(「ソラレン」<フロクマリン>を取り除いた加工をしているもの)を使用しているか、または光毒性を発揮しないレベルの低濃度で配合されているかのいずれかなので、心配する必要はありません。
「ソラレン」の濃度や浴びる時間・紫外線量によって光毒性(肌へのダメージ)は変わりますが、場合によっては肌が火傷のような重い症状になってしまうことがあるため十分に注意が必要です。
3.ソラレンが含まれる化粧品はいつ使うのが良い?
肌に塗布した「ソラレン」の光毒性は、その化粧品に含まれる対象成分の濃度にもよりますが、5時間~12時間ほどで消えていくといわれています。朝これから日光を浴びる!という可能性があるタイミングで「ソラレン」が含まれる化粧品を使用することは好ましくありません。そういった化粧品は、夜に使用することをおすすめします。ただ、精油等の濃度が高い物でなければそこまで気にしなくても大丈夫です。
4.ソラレンが多く含まれる美容成分
主にレモンやグレープフルーツなどの柑橘系から抽出される美容成分に「ソラレン」が多く含まれているという印象があるかと思います。しかし、一概に柑橘系すべてに「ソラレン」が含まれるということではなく、たとえばマンダリンオレンジには「ソラレン」は含まれていません。
含まれる美容成分を把握しておくことで安心してお手入れができるようになりますね。
ソラレン(光毒性)がある成分
・グレープフルーツ(4.0%)
・レモン(2.0%以下)
・ビターオレンジ(1.4%以下)
・アンジェリカ・ルート(0.78%以下)
・ルー(0.78%以下)
・ライム(0.7%以下)
・タジェット(0.05%以下)
・ベルガモット(0.4%以下)
※カッコ内は、光毒性を発揮しない目安配合濃度です。
5.よく化粧品で使われる「ビタミンC誘導体」の光毒性は?
精油以外で化粧品によく使われる「ビタミンC誘導体」はどうでしょうか? 有名な物で下記があげられます。
・リン酸アスコルビル
・アスコルビン酸Na
・パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na (APPS)
・テトラヘキシルデカン酸アスコルビル
・3-0-エチルアスコルビン酸など
実際これらには、光毒性の原因となる「ソラレン」(フロクマリン)が取り除かれており、光毒性の心配はほとんどないと言えるでしょう。今では「ビタミンC誘導体」を有効成分としたUVクリームなども発売されています。また、「ビタミンC誘導体」には医薬部外品の有効成分として美白効果も認められているという反面もあります。一概にイメージだけで「ビタミンC」は光毒性があると決めつけてしまうのも良くないですね。
ただし、濃度の高い「ビタミンC誘導体」は、肌を乾燥させる働きもします。人によってはピリピリ感を感じたり、薄皮がむけたりする場合がありますが、それと光毒性による日焼けとは別の症状です。
6.ソラレンに関するまとめ
・ソラレンの含まれる化粧品を塗って紫外線を浴びるとシミの原因になる。
・ソラレンが含まれる化粧品は朝使わず、夜使う方が良い。
・ソラレンは柑橘系に含まれることが多いが全てではない。
・化粧品原料になったビタミンC誘導体はほとんどの確率で光毒性の心配はない。
ちなみに、エビス化粧品の『オラージュマンダリン』は毛穴・肌のキメが整うマンダリンオレンジの果皮から抽出している美容原液ですが、「ソラレン」(Psoralen)は含まれておりません。
2017年2月20日